黒猫の先生

我が家には猫が3匹居る。
その内の1匹がうちの子になった時のお話し。

 

もう5年も前になるある日のこと、普段は全く連絡してこない友人から突然LINEが来た。
その節は母が大変お世話になり、ありがとうございました、とお礼の文面。
彼のお母さまが転んで骨折し、認知症を発症してしまったときに、多少の相談に乗っただけ。
その後暫くしてお母さまは亡くなり、彼はひとりで暮らしていた筈。

いえいえお世話なんて、そんなに大した事はしてないから、と返事をする。
実は…と、彼が続けた。

 

「実は僕に癌が見つかって、緊急入院したんです。」

「え!?…どこの病院!?」

 

週末すぐにお見舞いに伺った。
胆管癌で、これから抗癌剤治療を始めるという。

 

「そういえば、確か黒猫を一匹飼ってたよね、今どうしてるの?」

「遠方にいる従弟が毎朝ご飯をやりに通ってくれてるんです。」

「それは大変、私で良かったら暫く預かろうか?」

 

彼はとても喜んでくれて

「本当ですか?そうして貰えたら嬉しいです。」

と言った。

早速連絡を取り、従弟がケージに入れて、病院まで彼の黒猫を連れて来てくれた。
私は彼に

「しっかり面倒見るから、安心して治療に専念して、早く帰っておいでね。」

と伝え、『先生』という名の彼の黒猫を連れて帰った。

 

それから毎日、私は彼に『先生』の様子を写真に撮り、LINEで送った。
少しでも安心して欲しかったし、退屈で、辛い入院生活の息抜きになれば…と思った。

2週間ほど経ち、『先生』も初めは警戒していたのが、少しずつ我が家に慣れてきて、のんびりと昼寝をしている写真を送った。

いつもはすぐに返信が来るのに、その日は来なかった。
翌朝、返信が来たと思ったら、書いていたのは従弟だった。

 

【従弟の〇〇です。〇〇は、昨夜亡くなりました。】

 

それから『先生』は、うちの子になった。

 

 

 

2017年8月3日、彼の葬儀の日、私の日記にはこう記されている。

 

人はいつ死ぬかわからない。
当たり前のことなのに、何だか自分だけは死なないような気分で日々を過ごしてる。
毎日、いろんな事に喜んだり怒ったり悲しんだり、そしていろんな言葉を発して生きているけど、 もし明日、私が目覚めなかったら、人は私の口から出たどんな言葉が最後になるんだろう。
今日、永遠のサヨナラをした友人と、先週最後に交わした言葉は 「おやすみなさい」 「うん、またね おやすみ」 だった。

 

 

★友人は予備校の先生でした。

 なので飼い猫の名前にも『(にゃんこ)先生』と名付けたらしいです。

先生が1才くらいの時に、野良猫だったのを拾って来て、かれこれ10年程経ちますと聞いていたので、既に15歳位になっているかと思われますが、今日もとっても元気です♪

 

 

 

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